【連載第2回】くすぶりソムリエによるコンビニワインのおすすめ~フロンテラ・ロゼ編

元凄腕コンビニ店長、現くすぶりソムリエの筆者による、コンビニワインのおすすめと、つまみを紹介する新連載開始!ふらっと寄って買えるコンビニワインとコンビニつまみのマリアージュで、今夜1杯しませんか。第1回はセブンイレブンのボジョレヌーヴォー。

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目次

コンビニワインとつまみのおすすめ第2回

モテるコンビニのおすすめワイン

「ソムリエを生業にしています」と自己紹介がてらお伝えすると

「ワインに詳しいなんて、モテそう」

と、文字にしていても恥ずかしいような、ありがたいお言葉をいただくことがある。

先のお言葉はレストランなどで、スマートに女性をエスコートして、ワインをスムーズにオーダー、その日のディナーをコーディネートみたいなイメージが世の中にある事の表れだろう、と受け止めている。

であれば、モテるのに必要なのはスマートであることで、ワインに詳しいことが直接異性の関心を惹くことにはならないと思う。

事実、残念なことにワインをダシにモテた記憶はなく、
むしろ酒に関しては後悔を伴う痛飲や、恥ずかしすぎて誰にも言えないような数々の夜の記憶の方が、鮮やかに刻まれている。

それでも、そういった理想と現実のギャップと、やりきれなさを毛穴から出しながら今日もなんとかやっています。はじめまして、こんにちは。くすぶりソムリエ宮地です。

結局は楽しい夜を過ごすことに必要なのは、気遣いと思いやり。なんならウマいメシとウマい酒、ご一緒する相手の事を好きな気持ちがあればいうことない。

もしもワインでモテることを考えるなら、ワインの事を多く語らずにすむワイン。つまり、伝わりやすいワインか、ワインではなく自分を伝えるか、の二つにひとつ。

コンビニのおすすめワイン、第2回目のテーマはモテるコンビニのおすすめワイン。おすすめしたいのは知識なんて…なくても楽しめるワイン。

セブンイレブンのワインコーナーの棚から手に取ったのはフロンテラ・ロゼ。
今、日本で最も飲まれているチリワインのトップ・ブランド、コンチャ・イ・トロのエントリー・レンジのロゼワイン。

日本では、なんだか甘ったるそう、というイメージからか、どれだけメーカーや小売りが広告を投入しようと一向に流行らないロゼワイン。

可愛らしい色合いが女性におすすめというイメージも、ロゼがいまいち飲まれない事の原因のひとつではないかと思うが、現在日本に輸入されているロゼの大半は辛口、料理も幅広く合わせやすく、白ワインや赤ワインよりも総じてコストパフォーマンスは高い。

合わせるつまみは「ひとくち濃厚フロマージュ」。ロゼワインは和食洋食のみならず、中華やエスニックとも合わせられるが、あえてコンビニのスイーツ。

男くさくおすすめするつもりでいたら女性向けのイメージに引っ張られて、自然と手が伸びた。自分の単純さが恥ずかしく、下心が恐ろしい。

ひとつ希望を挙げるとすれば、セブンイレブンさんにはこのワインを冷やしておいてほしい。
イラスト:宮地英典

フロンテラ・ロゼのドライながら、どこか懐かしいキャンディのような風合いは、なんだかホッとさせてくれる味わいがあります。タンニンの粒は香ばしさをともなっていて、焼き菓子のような質感。このひと口チーズケーキとは味わいが同じ方向、同調のマリアージュです。

現在フランスでは、ロゼの人気が急上昇中。白ワインを超えてワイン全体の3割以上、ロゼワインが飲まれているといいます。現地を訪れた際、スーパーマーケットの棚にロゼワインとポテトチップスが交互に陳列されているのが印象的でした。若者を中心にロゼワインの消費が増えているといわれていますが、何故かを想像すると価格と品質、そして知識やウンチクを必要としない気軽さが受け入れられているのでしょう。

多くのロゼワインは赤ワインの副産物的に造られたり、工程がシンプルだったりと、そのブドウの品質に比して価格は手頃。

フランス最大のロゼワイン産地プロヴァンスからアメリカへの輸出も21世紀に入ってから毎年2桁増というデータからも、世界の成熟市場ではロゼワインはトレンドとして注目されていることがわかります。

ところが、日本でのシェアは1%。美味しいのに、選択肢にないのはもったいないことです。

あれこれ語る必要もなく、誰かとロゼワインを楽しむときに必要な知識があるとすれば、「なんか流行ってないの日本だけらしいよ」。このフレーズだけで充分すぎるほどかと…。

引用元: global.rakuten.com

セブンイレブン
フロンテラ・ロゼ
生産者:コンチャ・イ・トロ社
¥718
【連載第3回】くすぶりソムリエによるコンビニワインのおすすめ~レ・グランザルブル・ルージュ編
【連載第1回】くすぶりソムリエによるコンビニワインのおすすめ~ボジョレヌーヴォー編

宮地英典

【宮地英典/Eisuke Miyaji】

1976年生まれ

ソムリエ

コンビニエンスストアとワインのプロフェッショナル。 20代は某大手コンビニ店長として数々の商材のトップセラーとして従事。 30代より、接客のフィールドをレストランに移し渋谷の知る人ぞ知る紹介制カウンターレストランでシェフ・ソムリエとして10年間躍。顧客の好みに合わせて料理とマリアージュさせるグラスワインの提供には定評があり、ニコ生「神の雫とワインな一時間」、日本テレビ「シューイチ」、フジテレビ「バイキング」、CM「やずや黄金極みだし」の他、文化放送「中島信也の土曜の穴」など料理と縁のないメディアにも何故か出演。 現在はワインの輸入販売の傍らワインコンサルタント、パーソナル・ソムリエとしてレストランから個人まで幅広くワインの魅力を伝えている。